物語の冒頭、凍てつく平原を馬車でペテルブルクからワルシャワへと急ぐ、小さな赤ん坊を抱く女性が登場。命からがらようやくたどり着いた先は、時のポーランド国王スタニスワフの弟のアンジェイ公の館。しかし、ナターリアと呼ばれるこの女性は、「夫からにげてきた」とアンジェイに二人の息子である赤ん坊のユーゼフを見せると息絶えてしまう。
この物語の主人公は、この小さな赤ん坊のユーゼフ(男の子)。アンジェイは、丁度、テレザと呼ばれる美しいオーストリア女性と結婚したばかりだった。テレザはこのユーゼフを実の息子と表向きは可愛がりながらも、影では冷たくあしらう。テレザは自分の息子のフェリックスを溺愛するが、ユーゼフのことは憎んでいた。自分の出生の秘密を知らされていないユーゼフは、館の中で孤独を感じながら成長していく。唯一の頼りは、乳母のヨアンナとロシア語教師のミハイロフ先生だった(もちろん、父親のアンジェイもだが)。
当時のポーランド王位と領土は、プロイセン、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国の政治的野心の的となっており、国王スタニスワフはロシア女帝エカテリーナ2世に推挙されて王位についていた。そんな中、国王の弟のアンジェイは、ポーランドの真の独立を願い国政改革にのりだそうとするが、志半ばで病に倒れ亡くなってしまう。アンジェイの遺言により、ユーゼフは軍人教育を受けることになり、国王スタニスワフが独身であるので、ユーゼフは内々に王位後継者にもなる。当然、ユーゼフが王位後継者に指名されたことを、母のテレザはおもしろく思わない。なんとか、自分の息子のフェリックスを王位後継者にしようと密かにたくらむ。
父親の死後、国王スタニスワフがユーゼフの教育の後見人となる。だが、ユーゼフは利発で何でもそつなくこなす割に、母親から冷遇されているからか、反抗的な態度を取る。けれども、父親の愛人だったヴォーバン夫人と出会い、ようやく自分の出生の秘密を知ることになるのだった・・・。
18世紀から19世紀にかけてのポーランドの歴史を調べてみると、この作品の主人公のユーゼフ・ポニャトフスキが、今後、ポーランドでどのような役割を担うようになるのかがわかります。この作品の最後に、どのエピソードがフィクションであるかの説明があります。自由に物語を創作できるのが、漫画のおもしろさですね。
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