2009年09月24日

天の涯まで ポーランド秘史

池田理代子のこの作品を、以前からずっと読んでみたいと思っていました。この度、図書館から借りてきて、ようやく読むことができたしだいです。以前、このブログで紹介した同作者の栄光のナポレオン エロイカの番外編ともいえるでしょう。栄光のナポレオンを読んでいた時、池田理代子の深い歴史知識と理解に驚きました。栄光のナポレオンでも触れられていたポーランドの歴史に焦点をあてたのが、天の涯までです。

物語の冒頭、凍てつく平原を馬車でペテルブルクからワルシャワへと急ぐ、小さな赤ん坊を抱く女性が登場。命からがらようやくたどり着いた先は、時のポーランド国王スタニスワフの弟のアンジェイ公の館。しかし、ナターリアと呼ばれるこの女性は、「夫からにげてきた」とアンジェイに二人の息子である赤ん坊のユーゼフを見せると息絶えてしまう。

この物語の主人公は、この小さな赤ん坊のユーゼフ(男の子)。アンジェイは、丁度、テレザと呼ばれる美しいオーストリア女性と結婚したばかりだった。テレザはこのユーゼフを実の息子と表向きは可愛がりながらも、影では冷たくあしらう。テレザは自分の息子のフェリックスを溺愛するが、ユーゼフのことは憎んでいた。自分の出生の秘密を知らされていないユーゼフは、館の中で孤独を感じながら成長していく。唯一の頼りは、乳母のヨアンナとロシア語教師のミハイロフ先生だった(もちろん、父親のアンジェイもだが)。

当時のポーランド王位と領土は、プロイセン、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国の政治的野心の的となっており、国王スタニスワフはロシア女帝エカテリーナ2世に推挙されて王位についていた。そんな中、国王の弟のアンジェイは、ポーランドの真の独立を願い国政改革にのりだそうとするが、志半ばで病に倒れ亡くなってしまう。アンジェイの遺言により、ユーゼフは軍人教育を受けることになり、国王スタニスワフが独身であるので、ユーゼフは内々に王位後継者にもなる。当然、ユーゼフが王位後継者に指名されたことを、母のテレザはおもしろく思わない。なんとか、自分の息子のフェリックスを王位後継者にしようと密かにたくらむ。

父親の死後、国王スタニスワフがユーゼフの教育の後見人となる。だが、ユーゼフは利発で何でもそつなくこなす割に、母親から冷遇されているからか、反抗的な態度を取る。けれども、父親の愛人だったヴォーバン夫人と出会い、ようやく自分の出生の秘密を知ることになるのだった・・・。

18世紀から19世紀にかけてのポーランドの歴史を調べてみると、この作品の主人公のユーゼフ・ポニャトフスキが、今後、ポーランドでどのような役割を担うようになるのかがわかります。この作品の最後に、どのエピソードがフィクションであるかの説明があります。自由に物語を創作できるのが、漫画のおもしろさですね。

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2009年08月26日

馬屋古女王(うまやこのひめみこ)

先日、奈良へ観光に行ってきました。飛鳥地方の古墳を見るのが目的で、高松塚壁画館に行って思い出したのが、山岸凉子のこの作品です。高松塚壁画館で見学した人物群像や龍などの幻想的な壁画(模写)が、日出処の天子(ひいづるところのてんし)の続編と言えるこの作品の、始めのほうのお墓の中でのシーンを思い起こさせたのです。もちろん、作品中でも高松塚のようなすばらしい壁画が描かれています。以下、ストーリーです。

日出処の天子の主人公である厩戸王子(うまやどのおうじ)の死後、これから葬儀が行われるという時、生後すぐに幽閉されていた厩戸王子の末娘である馬屋古女王(うまやこのひめみこ)が、王子の長男である山背大兄王子(やましろのおおえのおうじ)によってこっそりと連れ出される。目的は、亡き父の葬儀に参列させるためである。それまで誰も姿を見たことのない馬屋古女王は目も耳も不自由で言葉を話さず、足腰も不自由と言われていた。

厩戸王子の棺が御陵のお墓に安置された後、不思議な事件が起こる。山背大兄王子の子供の難波(なにわ)と弓削(ゆげ)が真夜中に行方不明になるのだ。すると不思議なことに、御陵のお墓の中から子供の泣き声がきこえてきた。葬儀の責任者を務める蘇我入鹿(そがのいるか)は、周りの者が止めるのもきかずにお墓の中へ入って行く(ここが、壁画のシーン)。

蘇我入鹿がお墓の中で見たものは!行方不明になった子供達と、なんと柩の上に座る厩戸王子そっくりな人物だった(ここも壁画のシーン)。蘇我入鹿は、厩戸王子が生き返ったのではないかと驚くが、よく見るとその人物は女性で、まだとても若い。騒ぎをききつけた山背大兄王子がそこに駆けつけると、その人物こそが馬屋古女王であることが判明する。

馬屋古女王の容貌は亡き厩戸王子にそっくりで、誰一人としてその美しい容貌を受け継ぐことができなかった王子の子供達は羨みもし惹かれてもいく。しかし、体が不自由ということだが、お墓の中で跳躍するのを蘇我入鹿は見た。そして、話すこともできないはずが、「(柩の)中は空」という不思議な言葉も蘇我入鹿はきいた。次第に、蘇我入鹿は馬屋古女王に対する疑念を募らせていく。さらに、馬屋古女王の美しさに魅了された男達が馬屋古女王を巡り対立を始め、一族に不協和音が響き始める・・・。

ストーリーの紹介はここまでにしておきます。日本史で一般的に語られる厩戸王子一族の終焉とは違う、山岸凉子独自のストーリー展開は、実
際に起こった出来事と思える程リアルで、本当に想像力と創造力の豊かな方だなあと思います!「(柩の)中は空」という馬屋古女王の言葉は読み終わった後も、どういうことなのだろうと考えさせられてしまいます。

角川書店から発売された山岸凉子全集9には、この作品の他に、神かくしと、神入山が収録されています。

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2009年06月23日

ベルばらKids 4

久し振りに新しいマンガを読みました。池田理代子のこの作品は、もう大分前に発売されていて、ずっと気になっていたのですが、なかなか読むチャンスがありませんでした。登場人物はオスカルをはじめとする、おなじみのキャラクター達ですが、本作には、新しいキャラも登場しています。池田理代子の別の作品、『オルフェウスの窓』から、ユリウス、クラウス、イザークが登場。実は、この作品はまだ読んだことがないので、とても興味深いです。いつか機会をつくって、ぜひとも読んでみるつもりです。

さて、『ベルばらKids 4』のほうですが・・・

オスカル・・・フェルゼンにまたドレスを着てくれと頼まれ、女装は二度としないと怒る。

アンドレ・・・オスカルからルソーの本を借りるが、読破するのではなく(難しくて)眠気を誘うものとして使う。

ジェローデル・・・相変わらずペットのねこに夢中。相手の気持ちになるため、ねこ型の耳を頭につける。

マリー・アントワネット・・・メルシー伯にとめられながらも、お姫様ファッションが流行中の渋谷へお出かけ。瞬く間に、人気者に。

ルイ16世・・・あいかわらず日本の相撲に入れこんでいる。行方不明になり、メルシー伯以下捜索中、ふと相撲中継をしているテレビを見ると、土俵際に相撲観戦中のルイ16世の姿が。

つい最近、フランスのテレビ局が制作したマリー・アントワネットのドキュメンタリードラマを見ました。本物のヴェルサイユ宮殿がロケ地に使われていて、とてもおもしろかったです。その番組で知った新エピソードは、ルイ16世は宮殿内を窮屈に感じ、屋根の上を歩いていたというもの。『ベルばらKids 4』作品中のように、本当に行方不明になり、捜索したら屋根の上にいたなんてことがあったかもしれませんね。


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2009年02月11日

あさきゆめみし

大和和紀のこの作品は、もうご説明は不要かと思われますが、紫式部原作の源氏物語の漫画化作品です。去年から、源氏物語がさかんにメディアで取り上げられ、今も深夜にアニメ作品がテレビで放送されています。必然的に、高校生の時、古典の試験対策として、友人からあさきゆめみしを借りて読んだのを思い出し、またむしょうに読みたくなってしまいました。TSUTAYAで借りてきたのは文庫本にして全7巻、宇治十帖まで含まれます。非常に読み応えのある作品に、自分のなつかしマンガ・コレクションに加えておくべきだったと思いました。

今回、作品を最初から最後まで一気に読みとおしてみて、作品に対して新たな発見をすることができました。源氏物語というと、平安時代のプレイボーイ、光源氏の華々しい恋愛もの、というイメージがありましたが、実はそうではなく、人の道をふみはずすと、必ず罰が下るというよ
うな、モラル・ストーリーであったのに気付きました。そして、その罰に苦しむ人々の悲しみや嘆きに同情せずにはいられず、罰そのものの意味や意義もこの作品は問うているのではと感じました。

長いストーリーの中、個人的に印象に残ったのは、光源氏と藤壺の宮(女)のエピソード、女三の宮(女)と柏木(男)のエピソード、そして、宇治十帖での、薫(男)と匂の宮(におうのみや)(男)と浮舟(うきふね)(女)の三角関係エピソードです。あと、夕霧(ゆうぎり)(男)と雲井の雁(くもいのかり)(女)のエピソードもよかったです。

宇治十帖は今回初めて読む物語だったので、とても新鮮でした。ですので、ほんの少しストーリーを紹介しましょう。時代は光源氏亡き後、光源氏の息子の薫と、光源氏の孫の匂の宮(におうのみや)が貴公子としてもてはやされている平安の世。この二人の年齢は近く、幼い頃から慣れ親しんでいたが、二人の性格は対照的で、薫は冷静で落ち着きがあり思慮深く、匂の宮は明るく積極的で情熱的。この二人に同時に愛されてしまうのが、どこか頼りない感じのする浮舟。やっかいなのが、浮舟は二人の魅力の違いをわかったうえで、同時に二人に惹かれていってしまう・・・。よくある三角関係のパターンですが、結末は伏せておきますね。
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2008年11月04日

落窪物語

花村えい子の落窪物語は、中公文庫から出版されたマンガ日本の古典シリーズの第2巻です。日本の古典がマンガで読めるのは嬉しいと思い、図書館から借りてきました。随所随所に、物語の背景の説明や和歌の現代語訳などがあり、作品理解に役立ちます。以下、ストーリーです。

ヒロインは平安時代の姫、落窪の君。美しく、気立てもよく、母は皇族の出で高貴な生まれだが、母に先立たれた後、継母に疎まれ、源中納言家(みなもとのちゅうなごんけ)で、たった一人、床の落ち窪んだ部屋に住まわされ、落窪の君と呼ばれていた。いつも、女中のように縫い物をいいつけられ、古着を着せられ、頼る人が誰もいない寂しい身の上。しかし、たった一人、阿漕(あこぎ)という女官が忠実に仕えてくれていた。

阿漕は、かわいそうな身の上の落窪の君を助けてあげられないかと、夫の惟成(これなり)に相談する。すると、惟成は今をときめく貴公子の右近少将道頼(うこんのしょうしょうみちより)に落窪の君のことを話し、道頼は興味を持つ。しかし、道頼が本気かどうかわからないと阿漕は心配した。道頼は好奇心から、落窪の君へ次々に手紙を送るが、全く返事はない。ある晩、源中納言家の人々が出かけたのをみはからい、道頼は落窪の君の姿を垣間見る。顔は見ることができなかったが、道頼の気持ちは高まり、その晩、落窪の君の部屋を訪れる。

その後も、道頼は落窪の君に手紙を送るが、君の態度はつれない。けれども、道頼は本気で落窪の君を愛するようになり、君が継母から受けるひどい仕打ちも目の当たりにし、君を守ることを決意する。やがて、落窪の君も道頼に心を許し、二人は相思相愛の仲になるのだが・・・。

なんと、落窪の君の異母妹と道頼の結婚話が持ち上がってしまう。そして、落窪の君に高貴な身分の恋人がいることにかんづいた継母は、嫉妬から、ありもないおかしな噂を吹聴し、落窪の君をふしだらな娘として物置小屋に閉じ込めてしまう!はたして、落窪の君の運命はいかに?

巻頭に、落窪物語の説明があり、(引用)現存する物語としては世界最古のひとつとされる継子いじめ物語(灰かぶり物語)(引用終わり)、とあります。先日、映画ハリー・ポッター役で有名なダニエル・ラドクリフ主演のデビッド・コパーフィールド(イギリスのテレビドラマ作品)を見ましたが、継子いじめが強烈で夢でうなされそうになりました。本当に、世界中に存在する、なくなって欲しいテーマです。

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タグ:花村えい子
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2008年10月28日

日出処の天子(ひいづるところのてんし)

先日、奈良の法隆寺を訪ね思い出したのが、山岸凉子の大傑作、日出処の天子(ひいづるところのてんし)です。この全11巻の長編大作の主人公は、厩戸王子(うまやどのおうじ)で後の聖徳太子です。私が法隆寺を訪れた時、丁度、法隆寺秘宝展をやっており、聖徳太子のお住まいのあったとされる斑鳩宮の瓦など、珍しいものを見ることができました。また、夢殿本尊の秘仏(聖徳太子等身と言われる)も期間限定で開扉されていて、大感動。帰宅してから、また日出処の天子を読み始めたというわけです。以下、第1巻から紹介します。

物語の重要人物の一人、蘇我毛人(そがのえみし)(14才)は、当時の政治権力者の一人、蘇我馬子(そがのうまこ)の息子。まだ政治にはあまり興味がなく、お転婆な妹の刀自古(とじこ)(12才)とは対照的に、書を読んで家にとじこもりがちだった。ある春の日、外に出かけた毛人は、まだ寒いのに、池で泳ぐ女の姿を目にする。もしかして、泳いでいるのは妹の刀自古ではないかと思い、女に近づくが、女は見知らぬ美少女だった。その少女の美しい姿は毛人の心をとらえ、きっと大王(おおきみ)につかえる女官に違いないと考えた毛人は、父について大王のいる朝廷へ行く。

朝廷の庭をふらつく毛人は、桜の木の下で、先日見かけた少女にそっくりな少年に出会う。声をかけようとする間もなく、その少年は立ち去り、毛人は、自分が後宮まで入り込んでいたことに気付く。とすると、さっき出会った少年は王子であることになる・・・。

朝廷で開かれた鎮花祭に父と出かけた毛人は、一度も会ったことのない厩戸王子(10才)を迎えにいくことになってしまう。ちゃんと連れてくることができるか不安に思いながらも、毛人は王子の部屋にたどり着き、不思議な光景を目撃してしまう。こちらに背をむけて座る王子の前の机の上に置かれた巻物が宙にうきあがると巻物の紐がとけ、巻物が開いてしまった。毛人を振り返り見る王子の表情は鬼のように険しい。恐ろしくなった毛人だったが、王子の表情はすぐに和らぎ、毛人は先日桜の木の下で出会った少年は、厩戸王子だったことを知る。なぜか、毛人は名前を名乗っていないのに、王子はすでに毛人の名前を知っていた。毛人は気味悪く思う。

ある日、厩戸王子のいる池辺(いけべ)の宮から使いが来て、毛人は呼び出される。毛人が部屋で待たされていると、池で泳ぐところを目撃した少女が毛人の前に現れた。毛人は、少女が厩戸王子なのか誰なのかわらかず混乱するが、百済からきた僧、日羅(にちら)に会いたいという少女に頼まれるまま、二人で出かける。すると・・・日羅は対面した少女を指差すと「その子は人にあらず」と言い、毛人は驚いてしまう。けれども、少女は表情ひとつ変えず、その場からすたすたと立ち去ってしまう。しかし、毛人が少女に追いつくと、少女は、日羅の命はもうつきていると言い放つ。そこで、毛人は、やはり少女は厩戸王子に違いないと確信するが・・・毛人に、自分を起こす女官の声が聞こえ、気が付くと待たされていた部屋で眠っていた。王子が出かける時、毛人はいくら起こしても起きなかったという・・・毛人には、昨夜のことが夢には思えないのだが・・・。

物語の始めから、歴史の教科書で伝えられる聖徳太子像とは大分違う厩戸王子が描かれています。歴史上の人物をここまで独創的に描いて、オリジナルの物語をつくりあげた山岸凉子はすごいなと思います。しかも、フィクションの域を超えて、本当にあった物語のように思わせる説得力があるのもこの物語の魅力でしょう。

第1と2巻の表紙(王子の顔が幼いですね)

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2008年10月14日

雪の音

久しぶりに図書館からマンガを借りてきました。美内すずえ傑作選の第
6巻虹の戦(いくさ)です。今日は、この傑作選から雪の音(月刊セブンティーンの1972年2月号掲載だそうです!)という作品を紹介します。

ヒロインは大学生のポリー。容姿が不器用であることを気にしていて、ひっこみじあん。いつもひとりぼっちでいる。ある日、ポリーは一つ年上の美人で有名なキルメニイに声をかけられる。キルメニイはポリーに折り入ってお願いしたいことがあるそう・・・。

キルメニイは、グレンジャー財閥の御曹司と20才になったら結婚する約束で、2年前からグレンジャー家の世話になっている(キルメニイの父は事業に失敗して破産している)。この冬休み、キルメニイは婚約者のバート・グレンジャーと山の別荘で過ごすことになっているが、友達とスキー旅行に行く約束をしたので、自分の代役としてポリーにバートと一緒に別荘に行ってくれないかというのである。というのも、ポリーの声が自分の声とそっくりだからという理由で。

当然、ポリーはそんなことはできないと断る。いくら声が似ていても顔が違うというのである。しかし・・・バートは昨年、交通事故にあい失明してしまっていた。いろいろと自分のことを教えるから、ふりをしてくれるだけでいい、とキルメニイはポリーを説得する。結局、ポリーはキルメニイの代役をひきうけることにしてしまった。

ポリーは代役が上手くつとまるか自信がなかったが、なんとかバートを信用させることに成功した。失明してから性格まで暗くなってしまったバートの態度は、ぶっきらぼうで冷たい。しかし、ポリーは次第にバートのかたくなな心をほぐし、いつしかバートに惹かれている自分に気付く・・・。そして、笑顔を取り戻してきたバートに改めてプロポーズをされ、ポリーは悩み苦しむ。「バートが愛しているのは自分じゃない、キルメニイだ!私のことをキルメニイだと思い込んでいるだけ」

結末はふせておきますが、ヒントを二つお教えしましょう。登場人物の関係は、三角関係ではなく四角関係です。キルメニイには隠れて他につきあっている人がいます。そして、目の手術に失敗し視力が回復していなかったと思われていたバートの目は実は・・・!?

この傑作選の表題作品、虹の戦(いくさ)は、織田信長と濃姫という、私の想像力の想定外のキャラクターについての物語でとても新鮮でした。他に、雪の日ふりむいた風クリスマスの奇跡という作品が収録されています。

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タグ:美内すずえ
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2008年08月12日

For You(フォーユー)

この作品は、山下和美作品で私が好きなものの一つです。確か、昔、友達に借りて読んでとても気に入ったので、後日自分でも購入したんだと思います。以下、ストーリーです。

ヒロインは、美容師を目指して金沢から上京してきた里美。いつか美容師の試験に合格して自分の店を持つという夢を抱き、渋谷のやわらぎというお店で下働きをして頑張っている。そんな里美の大変な下働きの毎日も、ようやく終わる日がやってきた。新人が入るので、里美がはさみを持つことができるようになるのだ。里美は、自分の夢に一歩近づけたと大喜び。

入ってきた新人は男性で、名前は松木東吾(まつきとうご)。なんだか新人らしからぬ雰囲気を持ち、お店のことも「もっとましな店にすればよかった」と酷評。当然、里美の反感を買う。他にも、男の先輩美容師の藤巻から、東吾はその堂々とした態度に反感を買われる。しかし、新人は新人ということで、雑用を言いつけられ東吾は忙しく立ち回る。

その日、里美と東吾はたまたま帰宅する方向が同じで、一緒に帰ることになる。すると、突然、東吾はある男に追いかけられ始め、里美は東吾の逃走に巻き込まれてしまい、その晩、東吾を自分のアパートの部屋にかくまうことになる。

翌朝、一緒に出勤してきた里美と東吾の姿を目撃した藤巻は、嫉妬心から、仕事の最中に東吾と里美のことを中傷し、それを耳にした里美は気が動転してしまう。そして・・・その動揺から、里美はカットしていた女性客の髪の一部をあやまってばっさりと切ってしまうのだった!女性客は切られた髪に悲鳴をあげ(当然ですよね)、里美は呆然。店長は大慌てで客をなだめようとする。けれども、お店の中が騒然とする中、半狂乱になった客の髪を直し始めたのは、なんと新人の東吾だった。

皆が東吾の仕事振りを固唾をのんで見つめていると、女性客の髪型は斬新に美しく出来上がる。実は、東吾は新人ではなかった。里美はまた自分は一からやり直しだと落ち込むのだった・・・。

その後、東吾は超有名ヘア・デザイナーのチーム・リーダーだったことが判明し、里美はショックを受けます。そして、里美は東吾にいつも自分はばかにされていたような気がして、ますます落ち込むのです。けれども、東吾のほうはそんな風に思っていなかったよう。いつも自信満々な東吾にも手に入れることができないものもあるようです。決して、相性が良いとは言えない里美と東吾ですが、微妙なものは存在しているよう。最後のシーンで、東吾が里美の髪をカットするのですが、それがまさしく変身でかっこいいです。

他に、あなたのいる風景という短編が収録されています。こちらも秀作です。

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タグ:山下和美
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2008年07月21日

ベルばらKids 3

以前、このブログでとりあげた、池田理代子のベルばらKidsの最新号、第3巻が発売になりました。早速入手したので紹介します。

まず、ごく簡単に物語の概要を。池田理代子の名作、ベルサイユのばらの登場人物が3頭身となり4コママンガでギャグをとばす、朝日新聞の土曜版で連載中のマンガです。

今回、個人的に私が気に入ったのは、新しい大統領というタイトルのルイ16世のエピソードです。新しいフランス大統領がサルコジ氏に決まり、ルイ16世はがっかりする。なぜかというと、サルコジ氏は相撲が嫌いで、相撲好きで力士になるのを密かに夢見ているルイ16世とは趣味が合わない・・・、というわけです(前フランス大統領のシラク氏は大の相撲ファンでしたね)。

(以前、上記の文中、ルイ16世のことをルイ14世と間違えて記述していました。ごめんなさい。)

もちろん、他のキャラクターも健在です。オスカルはタカラヅカ入学を検討。アンドレはオスカルにワインとお酢を間違えて飲ませてしまう。アントワネットはハワイアン・ダンスを覚え、宮廷でハワイアン舞踏会が催される。ジェローデルはペットのネコちゃんのために、自宅を和室にリフォームしこたつを置く。オスカルの姪のル・ルーはハンカチ王子のお嫁さんになるのを夢見る。と、楽しいエピソードがいっぱいです。

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2008年07月04日

わたしは夢みる少女

いくえみ綾のこの作品は、いくえみ綾作品中、私が一番気に入っているものです。ちょっとぼーっとしてさめた感じの女子高生が主人公で、絵もかわいくて好きな作品です。以下、簡単にストーリーを紹介しましょう。

ヒロインは高校3年生の幸子。作品冒頭で、雪の中を一人彷徨っていて、「こんなところで死ぬわけにはいかない」と思いつつも気を失ってしまう。そして、場面は変わり、とある田舎の中学校に。そこで登場するのは、掃除をさぼって帰宅する中学2年生の男の子、しげる。しげるが帰宅し自分の部屋に入ると、女の人が寝ていた!しげるはびっくりして、部屋を飛び出して行く。しげるの母は、家の裏手で倒れていた女の人を見つけたので、しげるの部屋にとりあえず寝かせたと説明する。それが、幸子だった。

幸子は、しげるの家でとても親切にされ一晩を過ごす。しげるの家族はそれとなく、こんなところで幸子は何をしていたのかときくが、幸子は上手くはぐらかす。それでも、多分、気付かれていたであろう。幸子が傷心旅行をしていたのは・・・。

東京に戻った幸子を、波多野先生が駅に迎えにきた。波多野先生は幸子の高校の現国の先生で、幸子の恋人だった。でも・・・波多野先生には妻子がいた。学校で友達がいない幸子は、妻子がいることを知らずに波多野先生のことを好きになってしまった。偶然、事実を知った幸子は、一人傷心旅行に出たのだった。結局、波多野先生は学校を辞め、幸子は高校を留年する。

春になり、東京に修学旅行に来ていたしげると、幸子は偶然再会する。しげるは、幸子に会って以来、幸子のことを忘れられずにいた。幸子に再会したしげるは、正直に自分の気持ちを話し、東京の高校への進学を考えようと思うと幸子に話す。けれども、幸子はしげるの気持ちに100%こたえることはできない。波多野先生のことを忘れられずにいたのだった・・・。

この後、しげるは東京の高校に進学しますが、波多野先生という超えられない存在に嫉妬したり苦しんだりします。幸子のほうも、しげるは自分なんかにもったいないと思ったりするのです。

3−Dのクリスマスカードという短編が2巻に収録されています。

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2008年06月19日

ベルばらKidsが案内するフランス宮廷の”美” ルーブル美術館展 フランス宮廷の美 の観賞

先日、神戸市立博物館で開催中の「ルーブル美術館展 フランス宮廷の美」という展覧会を見に行ってきました。日曜日だったので館内はものすごく混んでいて、人垣のむこうにある展示物を部分的に見るという観賞方法をとらざるをえませんでした(見終わった後の疲労感がものすごかったです・・・)。見に行こうと思った動機は、もちろん、ベルサイユのばらの登場人物に関連するものを見たかったからです。

やはり朝日新聞で紹介されていたマリー・アントワネットの旅行用遂行品入れ(と遂行品)は、物凄く見ごたえがありました。思っていた以上に大きく(サイズは閉蓋時19×82×48.5cmだそうです)重厚なつくりでとてもインパクトのある逸品です。遂行品のほうも豪華で素晴らしく、茶器にマリー・アントワネットのイニシャルが入っているのが印象的でした。

それから、個人的に見れてよかったと思ったのは、マンガのベルサイユのばらの最初のほうで、マリー・アントワネットと女の戦いをくりひろげたデュ・バリー夫人のミニチュア肖像です。実物を拝み、デュ・バリー夫人を身近に感じられた瞬間でした。それから、狩猟服を着た王妃、マリー・アントワネットの肖像画もよかったです。この肖像画は解説によると、実物にあまりにも似すぎていたので、当時評判が悪かったそうです。実物に似すぎていて評判が悪い・・・・なんだか不思議です。

そして、展覧会のおみやげものコーナーにありました、ベルばらKidsが案内するフランス宮廷の”美”というガイド・ブック。朝日新聞で連載中の、池田理代子のベルばらKidsのキャラクターの挿絵入り小冊子です。ページ随所で、各キャラが的確なセリフを言ってます。

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2008年06月08日

とっても綺麗(きれい)・・・

山下和美の短編集、とっても綺麗(きれい)・・・の表題作です。青山にある古い洋館が舞台の、レトロな雰囲気がすてきな作品です。以下、ストーリーです。

ヒロインは札幌から東京の大学に進学するため上京してきた倫子(りんこ)。青山に住むおじいちゃんの家に居候することになっている。幼い頃にしか訪れたことのないおじいちゃんの大きな家・・・。倫子には憧れの場所だった。しかし、叔母さんに連れられてやってきたおじいちゃんの家は大分様変わりしていた。玄関部分は古着屋に占領され、家の中の部屋は古着屋店長の末次義人(すえつぐよしひと)にのっとられていた。けれども、倫子を最も驚かせたことは、おじいちゃんが倫子のことを全く覚えていず、「美枝子」と嫁(倫子の母)の名前で呼ぶことだった。しかも、末次は「小太郎」(倫子の父・おじいちゃんの息子)と呼ばれていた。

驚く倫子に末次はこう説明した。ここ一か月で、おじいちゃんの容態は随分悪くなった。時におじいちゃんは、急に少年時代に戻ることもあるという。末次は、当初は面食らったが、おじいちゃんとおじいちゃんの家が大好きだから、今ではおじいちゃんの話にあわせて行動しているそうである。倫子はおじいちゃんの病状をなかなか受け入れられないものの、自分も末次のように対応しようと考える。

おじいちゃんの頭の中ではこうだった・・・すっかり、倫子を美枝子だと思い込み、しばらく家出していた嫁がようやく息子の小太郎(末次のこと)のもとに帰ってきてくれた。おじいちゃんの話に合わせるため、倫子と末次は本当の夫婦のように振舞わなくてはいけない。別々の部屋で寝ることすら許されなかった。倫子のストレスはピークに達し、末次にあたってしまう。すると、末次は出て行き、倫子は後悔して後を追おうとするが、その時、おじいちゃんの姿も見えないことに気付いた・・。

おじいちゃんの病状というシリアスな一面を持つ作品ですが、読後感はほのぼのとしていていいです。

表題作の他に、スキスキ大すき乗合夜行バスという作品が収録されています。

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タグ:山下和美
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2008年06月03日

新装版 小説 キャンディ・キャンディ

この本はマンガではなく、文字通り小説です。マンガのキャンディ・キャンディの原作者、名木田恵子(=水木杏子)が書いた小説版キャンディ・キャンディで、絶版になっていたものが、復刊ドットコムのおかげで再発行されたそうです。

マンガで全部読んでいるから小説のほうを読む必要はないだろうと思いつつも、やはり気になるので読んでみました。三部構成で、第一部はキャンディの幼少時代からアンソニーの死まで、第二部はキャンディのイギリス留学時代、第三部はキャンディからの書簡集になっています。

一番おもしろいのは、やはり第三部。キャンディから作中の様々な登場人物への手紙があり、キャンディが自分に親切にしてくれた人々へ感謝の気持ちを綴っています。手紙のあて先の一つには、ラガン夫妻へのものもあり、キャンディは、ラガン家の経営する「マイアミ・リゾート・イン・ホテル」創立を手紙の中で祝っています。ラガン家では辛い目にあってばかりいたキャンディですが、大人になってからは良好な関係を築いていったようです。

と、このように、キャンディの書き綴った手紙から、その後のキャンディがどうなったかを知ることができます。そして、書いたけどださなかった(またはだせない)手紙集もあり、宛名はアンソニー、ステア、テリィと並びます。

しかし、なんといっても、第三部の目玉は、キャンディとアルバートさんが交わしたという往復書簡集です。感動と驚きのマンガの最終場面の後、二人が手紙を送りあったという設定です。キャンディはアルバートさんにいろいろな質問をぶつけ(読者も知りたいはずの、アルバートさんの謎の生い立ちなどについて)、アルバートさんも丁寧に答えています。なるほどそうだったのかと、この本を読んで知った新事実は結構あり、ファンの方にはお勧めです。ちなみに、アルバートさんの片腕となって働くジョルジュは、その名前から察することができるように、フランス人だそうです。

マンガのほうとちょっぴり設定が違うところがありますが、枝葉の部分なので気にしなくて大丈夫です。

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2008年05月31日

キャンディ・キャンディ ボックス なつかしいポニーの丘から

この本は、いがらしゆみこと水木杏子原作作品、キャンディ・キャンディを愛するお二方(近藤恵&川上千恵子)の著作で、1996年に発売されたキャンディ・キャンディ解説本のようなものです。

それは数か月前のことです。新聞に入ってきた、とある化粧品会社の広告にいがらしゆみこのイラストが載っていて、私の目は釘付けになりました。なんか、キャンディに似ているかも・・・?!そして、必然的に、私はキャンディ・キャンディの世界に再びいざなわれることになりました。でも、持っているマンガを最初から読み直す気にはなりません。なぜかと言うと、キャンディに降りかかる数々の困難と不幸な事件を、また読み返すのはどうにも気が進まないからなのです(映画、タイタニックも同様の理由で見たくないです)。それでも、今回紹介する本の存在を知ると、この本は是非読んでみたいと強く思いました。

気になる本の中味はというと、作品のあらすじや登場人物の解説・分析など、ファンには充実の内容です。中でも、私が特におもしろいと思ったのは、当時のキャンディグッズの写真紹介ページです。私がまだ持っているかんごふさんバッグ(以前、このブログで紹介)や、昔持っていたミスマンガ家(トレーシングペーパーでキャンディのイラストをうつす)など、懐かしいと思わずにはいられません。

他にも、キャンディ・キャンディの年表があり、キャンディの生まれた年がわかりました(1899年)。それから、シカゴを本拠地とする華麗なる一族、アードレー家の血縁図や、物語の舞台となった場所の地図、登場人物の推定年齢など、ストーリーの理解を深めるのを助けてくれる内容盛りだくさんです。

作品分析などでは私と解釈が異なるところも若干ありますが、私が考えもしなかったこと、例えば、キャンディの母親は誰かということに大胆な考察がなされていておもしろいです(ちょっと、でもこの考察は大胆すぎかなとも思いますがあせあせ(飛び散る汗))。

ここでちょっと、キャンディ・キャンディの作品そのものの話をしましょう。いろいろな解釈ができる奥深い作品だと思います。特にエンディングは、これからどうなるのかと想像力をかきたてます。でも・・・、あんな状況で無理やりカップルになったテリィとスザナが上手くいくとは実際考えにくいなあ(結局は別れそう失恋)。

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2008年05月25日

ミスター・プリンちゃん

山本優子のミスター・プリンちゃん・・・。古いマンガの後ろにある発売中マンガの紹介ページでこのタイトルを見つけ、懐かしいと思わずにはいられなかった作品です。けれども、どういうルートでこの作品を読んだのか全然思い出せません。

可能性1・友達のお姉さんにもらって自分で所有していたがなくしてしまった。
可能性2・友達が持っていたのを借りて読んだ。
可能性3・自分で持っていたけど人にあげた。

このどれかだと思いますが、まったく記憶にありません。それでも、ストーリーは少し覚えていて、ヒロインは男っぽい高校生、プリンが大好きで、フェンシング部に入っていた、という三点が印象に残っていました。そして、当時、気に入っていた作品だったということも思い出し、どーしても、どーしても、また読みたくて仕方なくなってしまいました。このマンガを捜して待つこと数か月、ついに入手しました。昭和53年りぼん12月号の付録で、大きさは約15cm×11cmの小冊子です。確かにこんな本だったような気がすると、しばらく思い出に浸ってしまいました。

そして、作品を何十年かぶりに読んでみると・・・絵のほうはところどころ見覚えがあるのですが、やはりストーリーはほとんど忘れていました。こんな話だったっけ、と思わずにはいられません。やはり、マンガって絵のほうにインパクトがある読み物なんだなと実感しました。以下、ストーリーです。

ヒロインは高校2年生の美村果林(みむらかりん)。背が高くて男っぽくてスポーツ万能。なぜか女の子ばかりにもて、あだ名はミスター。学校の女子生徒の大半が果林の親衛隊に入っている。果林には新之介という幼馴染がいて、会うといつもけんかばかり。けれども、新之介は幼い頃から果林に思いを寄せていた。

ある日、果林の父が管理人をするアパートに、新之介と新之介の姉の久美子が引っ越してくる。二人の両親はアメリカに仕事に行ってしまったので、アパート暮らしが二人には丁度いいというのである。同じ屋根の下、果林と新之介はしょっちゅう顔をあわせることになり、トラブルが絶えない

果林の下校ルートに、新しい喫茶店ができ、果林は友人の芽衣子と行ってみることにする。お店の名前はプリンハウス。果林には、プリンに特別の思い出があった。喫茶店に入り、果林は早速プリンを注文する。すると、「プリンちゃんじゃない?」と店のマスターに声をかけられ、果林が顔をあげると、その昔、果林のアパートに住んでいた利則(としのり)だった。利則は大学生の頃、果林によくプリンを作ってくれた。果林はそのプリンが大好きで、利則にプリンちゃんと呼ばれるようになったのだった。利則は果林が小学6年の時に引っ越していった。利則は、その時のことを思い出して、果林と別れて寂しかったと語る。果林は大好きだった利則に再会できて大喜び。そんな様子を、たまたま通りかかった新之介が見てしまい、新之介は嫉妬してしまう。

ある日曜日、果林は利則にデートに誘われいそいそと出かけていく。それを知った新之介は、果林の後をこっそりつける。そして、デートの妨害を試みるが、最終的には失敗に終わる

後日、果林は真面目な顔をした新之介に利則とつきあうのをやめろと一方的に言われ気を悪くする。しかし、利則と新之介の姉の久美子が結婚することを知り、果林はショックを受けるのだった。さらに、新之介も両親のいるアメリカに行くという。果林は、突然新之介が自分の目の前からいなくなってしまうことに動揺する・・・。

と、このようにストーリーを説明すると、典型的少女マンガという気がします。私の記憶の中でもそうでした。でも、読み返してみると、すっかり忘れていた数々の味付けがあって驚きました。それは、ところどころにドリフのギャグのようなシーンがあるのです。例えば、上記の記述中、下線を引いてあるところがそれです。ギャグ・シーンでは絵の感じも全く違い、まさにお笑いマンガといったところです。しかも、ヒロインの果林が絶対にありえない変った能力(?)を途中から身に付け、それが、ギャグ・シーンの中心になるのです。こんな風に、いきなり作風が変るのは当時の少女マンガのスタイルだったのか、山本優子の独自スタイルだったのかと、現在考察中です。

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タグ:山本優子
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2008年04月08日

悪魔は眠らない

柿崎普美のこの作品は、全3巻です。私の怖いマンガ大好き時代に買ったのでしょう、今読み返すとけっこう気持ちの悪いシーンがたくさんあって、よく昔読めたなあと思います。けれども、絵は綺麗だし、さらに作品終盤では感動の物語となり、なかなか良いお話だと思います。長い物語ですが、簡単に、以下ストーリーを紹介しましょう。

ヒロインは高校生で、新聞部に所属する一美(ひとみ)。心霊特集という新聞のネタに、自分のある体験をみんなに話す。一美は子供の頃から同じ幽霊を何度もみている。それは、美しい男性でいつも同じ背格好。子供の頃には一緒に目撃した友達もいた。けれども、誰も一美の話を信じない・・・。

ある日、一美のクラスに男子転校生がくる。名前は天及翔(あまのしょう)。美形の転校生に女子生徒達は大騒ぎするが、一美は自分が幼い頃から見ていた幽霊に翔がそっくりでびっくりする。翔は一美の席の隣に座ることになり、不思議なことに一美の名前をすでに知っていた!

翔の転校直前から、一美は不思議な体験をしていた。急に現実世界から離れ恐ろしい世界に入ったと思うと、美しい女性に助けられる。やがてその女性は現実世界の一美の目の前に現れるようになり、一美にこう語った。「あなたが赤ん坊のころからあなたを守ってきた。天及翔には気をつけるように」。そして自分の名前はマリアだと名乗った。一美にはマリアの存在が自分の守護神のように感じられた。

しかし、マリアの正体は一美の体の中に生きている邪悪な悪魔で、一美の体を借りて他の人々を殺しその生気を食べものにする化け物であった。一美は赤ん坊の時、一度死にかけたことがあり、その時マリアが一美の体に入りこんだのである。今、一美が生きているのはマリアの存在のおかげだというのである。

なぜか翔は、そんな一美のことを詳しく知っていて一美を助けることができるという。一方、一美と一心同体のマリアの残虐な行為は次第にエスカレートしていくのだった・・・。

一美とマリア、そして翔の人物紹介は第1巻の中盤までには終わり、その後、半信半疑ながらも翔しか頼れる人がいない一美は、翔に対する信頼を高めていきます。そして、マリア対一美&翔の激しい戦いは第3巻で決着するまで続きます。翔の正体は物語の終わりでようやくが明かされ、ラスト・シーンは感動です。

第3巻に、ビー玉きらきらという短編が収録されています。

写真は第1と2巻の表紙

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